2015年12月07日

ミクローシュ・ペレーニ バッハ無伴奏チェロ組曲

念願だったミクローシュ・ペレーニの
J.S.バッハ 無伴奏チェロ組曲 全曲演奏会へ。
至福の2日間だった。

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【1日目】 2015.12.4(金)

第1番 ト長調 BWV1007
第5番 ハ短調 BWV1011
第4番 変ホ長調 BWV1010


第1番、淡い花びらのようなプレリュードから始まった。
あまりの優しさに「こんなプレリュードがあるのか」と驚かされた。

飾ることなく淡々と、
けれど強弱・スピードを繊細に変化させて曲を見事に紡いでいく。


ペレーニさんのバッハは彼の日常を覗かせてもらったと言う感じだった。その日常を聴かせるという事がいかに困難で不可能な事か!信じられないバッハだった。無添加でバッハの素材そのまま。

と、チェリストの山本裕康さんもツイッターで呟かれていたが、
難しさを感じさせない自然さを目の前にして、まるでペレーニ氏の自宅の一室で演奏を聴いているかのような錯覚に陥る。

天井から降り注ぐ清廉な音色に魂が浄化されるよう。

重音和音がまるで一つの音のように美しく澄み、染みていく。
正確無比な弓は弦の上を0.1mmのぶれもなく、
白鳥が湖面を滑るように動いていく。
コントロールという言葉さえ当てはまらないほど、
当たり前のように弓元から弓先まで、弓先が弦を離れる瞬間まで放たれる誠実な音色。

一音一音を慈しむように紡ぎだしたり、
民俗的な素朴さ、温かさを差出したかと思うと、
一気に集中し、カッと目も見開き、射抜くようなまなざしを向ける一瞬もあった。

アンコール
第3番 1.プレリュード
第6番 2.アルマンド


演奏が終わった後の穏やかな表情、気品に満ちたお辞儀、
何もかもが素晴らしかった。
舞台袖へ歩いていくペレーニ氏は、青年のように見えた。


【2日目】 2015.12.6(日)

第2番 ニ短調 BWV1008
第3番 ハ長調 BWV1009
第6番 二長調 BWV1012


ペレーニ氏はほとんど目を瞑って演奏されていた。
時折、閉じた目のまま
「そう、この部分が好きなんだよ」
とでもいうように、閉じた目のまま、優しい嬉しそうな表情を見せたのが印象的だった。

音色は2番3番と進むごとに深さと輝きを増していく。

弓と一体化した右腕の動きに息をのみ、
指板を叩く左手の四角い指先から弾き出る、光沢のある音に目を見張り、
組曲全体が物語のように構築されている様に見惚れていた。

輝かしい時間はあっという間に過ぎてしまった。

アンコール
第1番 2.アルマンド
第4番 5.ブーレ


アンコールで少しお疲れが見えたようにも感じたが、
演奏後のサイン会では疲れた顔一つ見せず、一人一人にとても丁寧なサインをして下さっていた。

書いてくださった文字も芸術作品のよう。
コンサートの音楽も、
いただいたサインも、一生の宝物だ。

ペレーニ氏と同じ時代に生まれてコンサートを聴けたことを心から感謝している。

J.S.バッハ : 無伴奏チェロ組曲全曲 / ミクローシュ・ペレーニ (2019年録音) (J.S.Bach : Six Solo Cello Suites / Miklós Perényi, Recording 2019) [2CD] [Import] - ミクローシュ・ペレーニ, J.S.バッハ, ミクローシュ・ペレーニ
J.S.バッハ : 無伴奏チェロ組曲全曲 / ミクローシュ・ペレーニ (2019年録音) (J.S.Bach : Six Solo Cello Suites / Miklós Perényi, Recording 2019) [2CD] [Import] - ミクローシュ・ペレーニ, J.S.バッハ, ミクローシュ・ペレーニ
ラベル:コンサート
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2014年11月08日

ユリウス・ベルガー チェロ・リサイタル

Julius Berger Cello Recital

2014年10月30日(木) 武蔵野市民文化会館

■出演
ユリウス・ベルガー(チェロ)
津田裕也(ピアノ)

■プログラム
ベートーヴェン:ヘンデルの『ユダ・マカベア』の主題による12の変奏曲
ブラームス:チェロ・ソナタ第1番 op.38 (4楽章版)
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ソフィア・グバイドゥーリナ:10の前奏曲
ブラームス(C.A.ピアッティ編):ハンガリー舞曲集より 第18番、第20番、第21番

見るからに「教授」とお呼びしたくなる風貌のベルガー氏、にこやかに颯爽と登場し、気負いもなく1曲目のベートーヴェンを。津田氏の明るいピアノと、歯切れの良いベルガー氏の音のバランスが絶妙。色彩感は強くない。かといって無機質でもなく、光沢のある演奏だった。

ブラームス『チェロ・ソナタ』は速度やしっとりとした音色がブルネロに共通していて「おや?」と思ったが、お二人とも巨匠ヤニグロの薫陶を受けられていたと知り納得。
深みのある音色と決然とした立ち上がりの良さが印象的でした。

休憩をはさんで更に調子を上げたベルガー氏。
グバイドゥーリナ『10の前奏曲』は、1974年に作られた実験的な作品。乾いた金属的な響きの中にも、弾き手のユーモアを感じさせられた。面白い。

ブラームス『ハンガリー舞曲集』の始まりは軽々と楽しげに駆け抜ける18番から。特に忘れられないのは第20番。底辺を支える力強さと、軽々としたリズムの対比が見事でした。


■アンコール
サン=サーンス「白鳥」 『動物の謝肉祭』より、
クライスラー「ベートーヴェンの主題によるロンディーノ」、
ブラームス「子守歌」

アンコールも始終ニコニコと笑顔で弾ききり、颯爽と歩く姿が見ていて気持ちよいほど。
「白鳥」は優雅さよりも命の喜びに満ちた若鳥のような、Feuermannの弾いた白鳥のイメージに近いものを感じた。
ロンディーノも明るく生き生きとした演奏。
それはそれは優しい『子守唄』で、穏やかにお開きとなりました。
お見事でした。

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Julius Berger
1954年、ドイツ・アウクスブルク生まれ。
ミュンヘン音楽大学、ザルツブルク・モーツァルテウム音楽大学でウォルター・ライヒャルトとフリッツ・キスカルトに師事。研鑽を経た後、米国シンシナティ大学でザラ・ネルソヴァ、マスタークラスではムスティスラフ・ロストロポーヴィチの薫陶を受ける。
1979年から1982年までアントニオ・ヤニグロのアシスタントを務める。
28歳のとき、ドイツ・ヴュルツブルク音楽大学で当時ドイツ最年少の教授となる。
1992年からはザルツブルクのモーツァルテウム音楽大学で、国際サマーアカデミーを開いている。2010年よりアウクスブルク音楽大学のレオポルドモーツァルトセンター所長を務めている。
楽器は、1723年製のジョヴァンニ・バティスタ・ロジェリ。

参考
Sofia Gubaidulina : 10 Preludes for solo cello
Johannes Brahms: Ungarischer Tanz Nr. 18
Johannes Brahms: Ungarischer Tanz Nr. 20
Johannes Brahms: Ungarischer Tanz Nr. 21


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ラベル:コンサート
posted by しるくら at 15:22| Comment(0) | TrackBack(0) | リサイタル・コンサート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする